南北アメリカ大陸

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アメリカ大陸に目を移すと、社会的経済が最も活発なのはカナダのケベック州です。ケベック州は、英語が支配的な北米(米国・カナダ)において唯一フランス語圏となっていることから、他の地域とは異なった経済構造があり、社会的経済が活発に運営されており、社会的経済の州法も可決しています。同地域にはシャンティエと呼ばれる社会的経済の推進組織が存在し、各種活動を行っています。英語圏カナダでは、主に地域開発が話題になっており、ケベックであれば社会的経済とみなされる団体が地域開発の観点から活動を行っています。米国には連帯経済ネットワーク(SEN)もありますが、同国の規模を考えると非常に小さな存在である一方、非営利セクターまたは第3セクター(概念については上記参照)のほうがより一般的な概念です。

中南米については、ラテン系ヨーロッパ諸国と同じく社会的経済と連帯経済の動きがありますが、特に注目すべきは、中南米独自のさまざまな価値観を取り込みながら発展を続ける連帯経済です。中南米は先住民やアフリカ系、ヨーロッパ系(ラテン系・ゲルマン系・スラブ系)や中東系、そして日系や華僑などさまざまな人種のるつぼとなっていますが、それぞれの伝統文化の中から連帯経済につながる価値観を見つけ出したり(たとえば自然と調和した豊かな生活を意味する「ブエン・ビビール」)、さまざまな社会運動と結び付いたりして発展しています。その中でも特に目を見張るのがブラジルで、「もう一つの世界は可能だ」をスローガンとして2001年に始まった世界社会フォーラムの中で、新自由主義的ではなく人間や環境を大切にする経済活動として社会的連帯経済が注目されるようになり、ブラジル連帯経済フォーラムという全国組織が結成されました。そして2003年に就任した労働者党のルラ政権の下で連帯経済局が連邦政府の機関として創設され、各種支援活動が行われていましたが、労働者政権が2016年に終わり、新自由主義を推進する政権になると連邦政府からの支援は打ち切られるようになり、2020年現在は逆境に立たされています。また、ブラジル最南部リオ・グランデ・ド・スル州サンタマリア市で開催されている連帯経済見本市(FEICOOP)は中南米でも最大規模のもので、ブラジル全国のみならず、アルゼンチンやウルグアイなど周辺諸国からも数多くの人が参加しています。なお、社会的経済の関係でいうなら、ブラジルやパラグアイなどでは日系人が農協を作って運営している例もあることも、日本人としては知っておきたいものです(その中でも最も栄えたものの、1994年に破綻したコチア農協の事例(日本語)についてはこちらで)。

FEICOOPの様子の紹介(2015年版)