オンライン勉強会「地域のルーツに深く根差したメキシコの連帯経済」報告

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2022年1月29日、第24回オンライン勉強会が開催された。メキシコにて連帯経済を実践するクラウディア・ジャディラ・カバジェロ・ボルハ氏より、「地域のルーツに深く根差したメキシコの連帯経済」というタイトルで講演いただいた。なお、当日の動画はこちらでご覧いただける(日本語通訳付き)。

メキシコは、歴史的にみても主体的に市民運動を実践してきた国の一つである。1985年にメキシコシティが大地震の被害を受けた際には、多くの人びとが解決策を見つけるべく、自治組織・市民団体を形成した。1994年には、先住民武装組織「サパティスタ民族解放軍(EZLN)」が複数の都市で蜂起し、その後、支配地域で自治を展開するに至っている。

連帯経済についても、1960年頃からすでに草の根の団体が数多く存在しており、90年代より本格的に推進され、現在ではNGOや協同組合、民間企業や政府にも浸透しつつある。

近年、新自由主義経済や投機経済が推進され、社会の不平等の拡大し、地球環境の破壊されたことが、メキシコでも大きな問題となっている。多国籍企業による大規模プロジェクト開発や投機マネーにより、先住民から土地が奪われ、生態系が破壊され、低賃金労働が広がるなど、さまざまな社会問題が発生している。

そのような流れに対抗し、クラウディア氏の所属するEcomún(https://vida-digna.org.mx/compartir/)をはじめ、メキシコでは様々な団体が連帯経済を実践、推進している。クラウディア氏は、現代の経済システムの代替案を紹介してくれた。

〇食糧:都市農園、有機農業の推進 〇経済:連帯と環境保護を基本とする経済 〇コモンズ:水、資源、土地、空気、種子、森林、エネルギー等の誰もが享受すべきものの保護 〇教育・文化:フリーアクセス可能な教育、芸術および参加型文化 〇福祉:自主運営による総合的な医療、介護

例えば、食糧主権の取り組みとして、メキシコシティのような都市圏では、空きスペースやゴミ捨て場を改善するなどして整備した農地を活用し、都市農園を実践している。また、有機農業の取り組みとしては、先住民の伝統的な農法であるミルパ(トウモロコシ、豆、カボチャなど、多品種を同時期に栽培)やチナンパ(水郷地帯の浮島で行う農業)を使って、エコで健康的な食生活をもたらす農業を実践している。

講演では、そのほかにも、メキシコにおける地域通貨の取り組みや、贈与経済の取り組みについても、具体的事例を通して説明がなされた。(詳細は、このサイト「参考資料」にアップされる「社会的経済音ら一勉強会の動画」を参照。)

最後にクラウディア氏は、「人類が、破壊的な貪欲さと、他人とつながれないという根本的な課題に直面している中、私たちは連帯経済の実践を通して、日常生活における相互扶助について再学習している。まずは、ローカルで創造的な地域空間を生み出し、さらに世界の意識改革に貢献したい」と語った。

戦後の奇跡的な高度経済成長に支えられ、物理的に豊かな生活を送ることができるようになった反面、競争・自己責任が基本の社会となり、精神的な豊かさは低下。他人とのつながりは希薄化している現代の日本において、メキシコの連帯経済から学ぶことは多いのではないか。

by S.S